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配偶者居住権について

2019/05/16

平成30年相続法改正により、新たに配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権とは、相続開始時に、被相続人の配偶者が、被相続人所有の

建物に居住していた場合、終身又は一定期間、引き続き無償でその建物を使用

・居住できる権利です。そして、他人に貸して家賃収入を得ることも可能です。

(ただし、人に貸す場合には、居住建物を取得した相続人の承諾が必要です。)

たとえ相続開始後にその建物を他の相続人等が取得しても可能です。

相続人と共同生活を営み、家事や介護を担ってきた配偶者の保護が趣旨です。

例えば、子が、配偶者居住権の負担がついた建物所有権を取得し、配偶者は、

配偶者居住権を取得し、自宅で居住を継続しながら、他の相続財産を取得する

ことができます。

現行法下では、被相続人の死後、配偶者が被相続人の持ち家に住み続けたい

場合は、被相続人の持ち家を配偶者が相続することになります。

しかし、遺産総額に占める持ち家の価額割合が高ければ、家を相続する配偶者が

他の相続人に代償金を支払わなければならない場合が考えられます。

もし代償金を用意することができなければ、家を相続することができません。

そのために自宅を手放したり転居を余儀なくされたり不利益が生じてしまいます。

しかし、このような場合でも、配偶者居住権を活用すれば、配偶者は自宅に住み続け

ることができます。それは、通常、配偶者居住権の価額は、その不動産の価額

(配偶者居住権の負担がついていない場合の不動産価額)よりも低く算定されること

になるからです。遺産分割時の配偶者居住権の価額の算定方法は、共同相続人等の

当事者間で合意すればどのように算定しても構いません。

配偶者居住権は、相続開始により当然に生じる権利ではないので、配偶者居住権を

取得するためには、遺贈や遺産分割によって権利を与えられる必要があります。

配偶者居住権を取得した配偶者は、相続開始前と同じ利用方法でなければなりません。

つまり、相続開始前に住居として利用していた部分は、引き続き住居として利用しなけ

ればなりません。もし、店舗や賃貸物件として利用していた部分がある場合は、引き続き

同じ利用方法で利用するほか、住居として利用することもできます。

配偶者居住権は、譲渡できません。配偶者居住権の登記を備えることができます。

居住用建物の所有者は、配偶者に対して、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を

負います。登記を備えれば、第三者に対して、妨害があった場合でもその停止等を請求する

ことができます。配偶者は、居住用建物にかかる通常の必要費(修繕費用等)を負担しなけ

ればなりません。

司法書士・行政書士 福満賢一

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